暴力的陵辱一直線の実用本位の短編。
学ランの新中一少年が誰も助けのこない列車内でとことんやられる悪夢の六十分を一人称で描く。
本当は気が進まない私立名門中学進学。たまたま合格してしまった少年は周囲の祝福をよそに憂鬱な気持ちを抱えずるずると新生活に入った。
その気持ちを反映するかのように、初めての学力テストの結果は惨憺たるものだった。
帰路の途中で街をぶらつき、疲れ切って家路へ向かう決意をした頃には、もう急行列車もない深夜になっていた。
重い足取りで乗り込んだ各駅停車のハコには一人の人影もない。
だが途中の駅から乗り込んだあやしげなコートの男は、悪意を秘めて少年の隣に座る。
駅に停まれども停まれども新たな乗客とてない車両の中で、つきに見放された少年の災厄の六十分が始まる――――。
こいつの言った「けがす」っていうのがどういうことか、わかりかけてきた。けれどほんの少ししかわかってなかったことは、あとで思い知らされた。
「見えないとこわいもんだろ? 何されてるかわからなくてさ」
車両の三枚のドアが開き、夜風が舞い込んだけど誰も乗ってこない。ついてないついてない。
「まだ四十分くらいあるな」
本当に死んでしまう。けどこの人はやめないだろう。
「やれやれ、よっぽど痛いのが好きなんだな」
僕はなんてバカな上についてないんだろう。 B6 本文(16P)、挿絵2 PDF、一太郎ファイル同梱、表紙画像は高画質JPEGにて収録 |